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女芸人の日常

第1章 上京する前はこんな子でしたばい


早速私は家さ出てタクシーを拾って空港に向かうと速足で飛行機に乗った。家を出る時に弟が最後まで手を振っていたのを思い出すけんね。
「あねじゃ、金貯まったら俺に手紙書いてくんど。」
「わかった。それまで待っててくんど。ほな一平も無事でなあ。元気にしとれよ。」
ちなみに私の弟は一平という名前です。
私は飛行機に入り席に着くといままでのことを振り返っていました。
~私は熊本県の人吉市九日町出身さ。そんな私の学生時代を手短に語ってきたけんど。私が学生時代で一番感動したことは高校3年生の時の卒業式だったかな。
「ちーちゃ卒業おめでとうな。うわぁ決めちゃってから!どこ行くの?」
友達が私に嬉しそうに聞いてきたど。
「私は芸人になるんさ。だから精密工業でお金溜めてお笑い養成所へ行くね。さやも短い髪も似おうとるけーん。」
私はこの時は少し照れくさかった。
「ありがとうな。ちーちゃんもまだすねぇ。」
私は友達と泣きながら抱き合いました。
しばらく私が友達と抱き合っていると友達がクラスのみんなに何か合図を送っていました。
「あれ、なんな?」
私が不思議にそう聞くとみんながクラッカーを手に笑顔で私の前に集まりました。
「山本千花夏さん、東京行っても芸人さまだすねぇ。みんなで応援しとるたい。」
ぱーん。
クラッカーが鳴り終わったあとに学級委員長が色紙を私に渡しました。
「これなんな・・・?みんなの寄せ書きか?」
そこにはクラスのみんなと先生からの寄せ書きがありました。
「おめさ、夢に向かってるところ見たら応援さしたくなってな、みんなで書いただよ。」
私はこの時までまったく気がつかなかったのです。友達に芸人になると言ったら呆れた顔をされてしまいそれから友人関係もギクシャクしてたさ。まさかこんな風に思ってくれていたなんて思わなかったな。
「みんな色紙に書いてくれてありがとうな。私はまだす!絶対に諦めけんね。日本一の女芸人なるんさ。何年掛かるかわからんけん。もしかしたら売れないかもしれんけん。でもテレビに出たらよろしゅうな。」
みんなが拍手喝采をしてくれたあとも私は涙で制服を濡らしてしまいました。
厳粛な卒業式が終わったあとクラスのみんなで記念写真を体育館で撮りました。
「誰さあいごいたけん、しゃしんのぶれたたい。」
これが私の学生生活の中で一番の思い出になりました。

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