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女芸人の日常

第1章 上京する前はこんな子でしたばい


あれからしばらく日が経って学校の面談がありました。やっぱり両親は来てくれませんでした。なので私は学校の面談で1人でした。
「あれ?親御さんはどうしたと?」
先生が私に聞いたので私はため息をつきました。
「先生は私の話を聞いてくれませんか。私が女芸人になりたいゆーたら聞いてくれませんのや。だから今日学校に母も父も来てくれへんのや。」
「なるほどね~。でも養成所のお金は高いからね。いや、君の夢は応援したいんじゃけどな。」
先生が頭を掻き唸りました。
「私、学校卒業したら精密工業で働いて金さ貯めてから養成所に入りたいねん。おばあちゃんも金さ貸してくれるゆーたけどやっぱり悪い気がしてん。だから自分で稼いで行きたいねん。」
それから少し時間が経ちました。面談が終わる頃に先生が履歴書を数枚渡してくれました。
「これを使えばよか。工業でしっかり働くさかいな。働く気はあると?」
「先生ありがとうな。ほな、さいなら。」
それからの私はまず精密工業に入ることだけを目標に勉強を頑張ってきました。さすがに芸人になるためにという理由では通用しないと思い精密工業に入りたい理由を一生懸命に考えていました。会社説明会も友達と一緒に行き話も沢山聞きました。

あれからです。学校を卒業した私はなんとか精密工業で1年間働きました。高校の卒業式には母はさすがに出席してくれましたが険悪なムードでした。そして私は精密工業で1年働き辞めたあと東京へ行く準備に追われていました。
鞄一杯に洋服を詰めて制服も何かに使えないかと一応入れておきました。そして今まで貯めたお金を封筒に入れて、クラスのみんなからの色紙も入れて私は実家を出て東京へ上京することにしたのです。

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