• テキストサイズ

女芸人の日常

第1章 上京する前はこんな子でしたばい


「なんべんでん念ば押したとに、やっぱ出来上がらんだったね。あん人にもあくしゃうつ。」
私が文句を言ったので父が私の頬を平手打ちしました。その時ぱあんと乾いた音が部屋中に響き渡りました。
「おめきよったら、のどんいとなった。もういい加減に諦めさかいな。」
「私は芸人になるためなら何とでもすると。アルバイトでも構わね。」
私の必死の訴えに母が気がつき父に耳打ちすると父も諦めて”そんじゃ親子の縁を切るとね。勝手にせんかい”と最後の言葉を振り絞り居間を出ていきました。
その様子を私の弟が台所から悲しそうに見ていたので母が弟に向こうに行ってるように言いました。

私はそれから部屋にこもって色々考えてみましたがやっぱり女芸人になることを諦めきれず明日本屋に行っていろいろ調べてみようと思いました。私の住んでいる所は田舎でネット繋がらなくて家にテレビもないので困りますね。
「これじゃあ芸人さんのお笑いDVDが見れないではないか。」
今までは家にテレビがないことにさほど不満を感じていなかったが今になって不満が欲求に変わっていました。しかし高校生の私がお金をそんなに持っているはずがありません。月々のおこずかいでも少なすぎるくらいです。
「テレビ買えねえならせめて芸人さんの本は買うっペよ。」
私がやる気に満ちているとドアをノックする音がしました。
「なんな。誰と?」
するとそこには弟の声がしました。
「あねじゃ。俺さきただよ。」
ガチャ。
「静かに入れな。」
バタンとドアが閉まると弟が静かに私の布団の上に座りました。
「まえがみのやじぇらしかごたっけん、きびってやろか?」
私が冗談で弟の前髪をつかみゴムで結ぼうとしたので弟が軽く抵抗しました。
「そんなことより、あねじゃは本当に芸人さんになると?」
弟が悲しそうに言いました。
「あたりまえとよ。今更夢は変えんよ。私は日本一の女芸人になると決めたとよ。」
「学校卒業まであといくつあるね?」
弟がそう聞いてきたので”半年さ”と私は答えたあと頬杖をつきました。
「お父さんとお母さんは反対しとったけんど俺は応援してるからな。」
「ありがとうな。さすがは私の弟だね。」
私がが弟を抱きしめると弟は少し照れていました。(かわいいなあ)
私は女芸人になると決めた今は本屋で本を買うこと、図書館でネットで調べることです。(これがタダなんだよね)



/ 318ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp