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女芸人の日常

第1章 上京する前はこんな子でしたばい


そんな私に転機が起きたのは高校3年生の時でした。
学校帰りに友達と歩いていたら遠くの方で声がしたので小走りで近づいてみると番組のロケかなんかで撮影が行われていていました。そしてそこだけ人だかりが出来ていました。
「あら、なんな?こっが分からんけん、おそえちゃらね。」
私は無我夢中で人ごみをかき分けて行きました。するとそこには見たことのある人達がいたのです。
「これ知っとると。”おっがこけおっけん、行ってくったい”っていう番組の・・・。」
私が目を輝かせていると隣で友達がため息をつきました。
「はいはい、”俺がここにいるから、行ってくれば”でしょうが?それがどうしたと?」
「えーっとあんひとたい。名前はなんだったかなぁ、うっちゃすれた。」
カメラマンやディレクターの前でマイクを手に持ち女の人と男の人が後ろのお店を紹介していました。
「まだましのお笑いとじゃなかば?」
友達がそう聞いたので私は”それじゃ!”と思い出して大きい声を出してしまったので恥ずかしかったですわ。その後はロケのざわつきから離れて友達と話しながら家に帰りました。
「私、さっきのロケさ見て思い出したけんどな。小学校さ時友達と電気屋さんのテレビに釘付けになった時がおってな。私はあの頃は芸人さ知らんとね。そしたら小学校の時の友達なんて言ったと思う?」
私は歩きながら友達に聞いた。
「そっか。わからんなあ。なんやろう?」
「人さ笑わせるんさ。あん人はがまだしモンだけんって言ったんよ。こぎゃんおそまじがまだすねぇって私はすっかり忘れとったけど今のロケさ見て私は決めたんさ。」
私は嬉しくなりスキップをした。←スキップって何年ぶりですか?
「何を決めたとね?」
友達がワクワクして聞いたので私は咄嗟にこう答えたさ。
「私は日本一の女芸人になるさ。」
「ちーちゃんは何をゆっとると?そんなの無理かとね。お金が入ってこんと売れんの知ってるやろ?」
「そんなの知っとるとよ。それに私はがまだして働いていえば建ててーのよ。」
友達は完全に呆れてしまっていました。
「じゃあ、両親にはなんと言うとね?」
「それはこれから考えるじゃけん。」
私が女芸人になるきっかけはたまたま見たロケだったのです。そして今までころっと将来の夢を変えてきた私ですがこの時ばかりは本気でした。
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