第1章 上京する前はこんな子でしたばい

そして私は中学生となった。
「また机に座ってかっ。あからんて言うたでしょ。」
私はいつの間にか休み時間になると机の上に座っとる。どうやら癖になったらしい。友達に注意されてやっと気がついた私は机から降りてこう言った。
「ごめんってば。でもそんなこと気にせんといてやー。」
そんな話をしていると授業のチャイムが鳴った。
「ねこじゃなかとだけん、あとぜきせんね。」
「はーい。」
先生が入ってくるなり”猫じゃないんだから、開けた扉は閉めしないか”だって。うちの学校では先生も方言を使ってたなあ～。みんなの所はどうだった？いつもは面白い先生もいっちょん、おもろなかっとそんな時もありますわ。まあ直訳したらくそつまんねーみたいな感じかしらね？あらいけない若者言葉に不慣れんもので。おほほほおっ←逃げてるんじゃないわよ！！
授業終わりに私は先生に聞きたいことがあったので教壇の前に歩いて行きましてね。
「先生！テストの結果はまだと？」
「まぁだ結果は出とらんけん、おったゆんな。」
そっか、結果はまだなのね。まあ暫く待つ事にするわ。
「ちーちゃん。おどんたちゃ、さきいっけん。」
友達はそう言って教室を出ていきました。
「先に行っとれよ。私も後から行くけんね。」
あっいけない。また大声で手を振ってしまったわ。
「そがんおめかんでちゃ聞こゆったい。」
私のコンプレックスは声がでかいことなのよね。家でも注意されっぱなしで、小声で話すのなんて無理そうですわ。だから友達同士の秘密のおしゃべりとかできないんです。はあ、友達の秘密なんて知らんしなあ。どないなんやろう？
この時の私は声が大きいコンプレックスをなんとかしようと必死でしたね。口にガムテープ貼って一日しゃべらないでみない？とか無理だわ。窒息死してしまう。じゃあ、どうすればいいの？そんな私は日々を悶々と葛藤していましたとさ。