第1章 上京する前はこんな子でしたばい
”なんべんでん念ば押したとに、やっぱ出来上がらんだったね。あん人にもあくしゃうつ”
あっどーも。こんにちは。私、千花夏(ちかげ)って言います。私は日本一の女芸人を目指しとるんですばい。がんばらにゃんたぃって自分に言い聞かせとるんですわ。そんな私の小言やありのままを聞いてもらってもよろしかですか?
あれは私が小学生の時でした。当時の私はお笑い芸人になろうなんて思わなかったと。
「えーっとあたしんカバンなぁ・・・あっあすけ置いとった。」
学校さ帰り道は友達と帰るのが楽しかったさあ。
「ねえ、ちーちゃん。あぁたげにゃ、ねこぁおるかい?」
友達が家で猫を飼ってる?と聞いてきました。ちなみに私の愛称さちーちゃんって言います。又はちかちゃんです。
「ねえっぺよ。おめさところは?」
私は答えったっさ。
「あるたいな。めんこいぞ。」
そんなたわいない話をして帰とった小学校時代。
暫く友達と歩いていると私はあるものに釘付けになりましたさ。
「あら、なんな?」
私が指さしたのは電気屋さんで売られていたテレビだったかな?そしてスクリーンいっぱいに映っていたのは漫才師のコントの様子でしたっけね。
「あら、どがんすっと?」
私があれはどうするのかと聞くと友達がお腹を抱えて笑っとった。
「あれは芸人さ~。ちーちゃんは知らんべ?」
「何さ。えしれんわ。芸人って何するん?」
「人さ笑わせるんさ。あん人はがまだしモンだけん。」
あの人は働き者だと友達が自慢げに言ったので私はどうしてなのかと聞いたさ。
「何言っとると!こぎゃんおそまじがまだすねぇ。」
こんな遅くまで頑張るねえと言っていた友達に目を疑ったが、そういえばこの番組は夜の番組を再放送していたのを思い出してな。
この時はまだ私も小学生だったけんな。こんなもんだもいるんさなあと頷いとるだけとった。