第2章 上京してから
養成所の帰りはななみさんと別れて不動産屋さんに寄りました。
「いらっしゃいませ。不動産屋ゆめやです。」
自動ドアが開き私は店員さんと1対1になりまして席に着きました。
「すみません。東京に上京してまだ何もわからないのですが1人暮らしをしようかと思いまして。私でも住めるようなアパートはありますか?」
私はおずおずと店員さんに聞きました。
「なるほど。予算はどれくらいを希望していますか?」
「家賃は3万円以下だとありがたいです。今は本当にお金に困っていまして。」
私が不安そうにそう言うと店員さんはパソコンで何かを入力して私にそれを見せました。
「こちらの2.5万円の物件はいかがでしょうか?トイレとお風呂付きで洋室が5.5帖ありますね。」
まず紹介されたのはお風呂とトイレ付きの1DKでした。
「そうですね。他のも見て決めたいので他にはどんな物件がありますか?」
私はこれもありかと頷きましたが更に見たくなりました。
「それでしたら少し値段は高めですが2.8万円の物件などいかかでしょうか?こちらのビルの4階または5階になりますね。洋室は4.5帖です。お風呂はありませんがキッチンとトイレ付きですよ。」
店員さんが次の物件を勧めてきました。
「風呂なしですか。女子にはきついなあ。ん?このK3.0帖ってなんですか?」
私は見取り図を見ながら聞きました。
「説明不足で大変申し訳ございません。Kとはキッチンを略したものでございましてこちらの物件ですとキッチンがかなり広めですね。」
えええ?こんなにキッチンが広々してるなんていらないわい。
こんなやり取りを暫くしていましたがこの日のうちに物件は決まりませんでした。まあ1日で見つけるなんて無理ですもんね。私は不動産屋を後にしてななみさんのアパートへと向かいました。住む家が見つかったら次はバイト先を見つけないといけませんね。でもまずは1人暮らしできる所を探したいと思います。それまでは、ななみさんのアパートでお世話になりますがよろしくお願いします。