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女芸人の日常

第2章 上京してから


この日の養成所の帰りはななみさんと話しながら歩いて帰りました。
「ななみさんは沖縄から来てるんだね。凄いなあ。」
私はななみさんにすっかり感心してしまいました。
「そんなことないわよ。あなただって同じでしょう?まあこれからもお互いに切磋琢磨できる仲にはなりたいわね。」
ななみさんはあっさりそう言いました。
「私は明日の養成所の帰りに不動産屋を回ってみようと思うんだ。ななみさんにも迷惑かけたくないしね。」
私はそう言ってふと空を見上げました。熊本と東京の空はこんなに違うんだと感じました。やっぱり熊本の田舎にいた時は山がきれいで空気が澄んでいる感じがしましたが東京は人ごみの中にぽつんと空があるように思えました。
「私は迷惑なんて思ってないわよ。ただ、このまま人にばっかり頼ってるわけにはいかないでしょう?一人暮らしだって経験しとかないといざというとき何かと大変だろうからさ。」
ななみさんは歩きながら私に語ってくれました。ななみさんの一言一言さえも私には輝いて見えました。
「そうだ。せっかく暫く2人でいるんだしスーパーで何か買ってかない?半分出してよね。」
「わかった。そうしましょう。」
私達は笑顔でスーパーへと向かいました。
そういえば東京に上京する前、熊本にいた頃おばあちゃんからお金を貸そうか?と電話がきましたが結局借りませんでした。おばあちゃんの気持ちはわかっていましたが借金を作りたくなかったし申し訳なく思ったからです。でもあのおばあちゃんの一言がなければ1年間どこかでお金を稼いで貯めておこうなんて思わなかったのかもしれませんね。おばあちゃんあの時はどうもありがとう。それと弟に暫くしたらだけど手紙を書かなくっちゃね。高校のクラスのみんなもあれからどうしてるかな?今はみんなからもらった色紙は鞄の中ですが1人暮らしを始めたらちゃんと部屋に飾ろうと思います。

この日の夜はななみさんと2人で食べました。もやしが安かったのでご飯にのせてその上に醤油をかけて(安い割にはゴージャスでしょう?ふふっ)本当はテレビも見たいところですが切り詰めていかないといけませんね。この1年間は何かと我慢が必要です。さて明日も頑張るとするか!!
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