第15章 信じてた正義は思い違いな事実だった
侑士が言葉を発してから
経過した時間が物凄く長く感じる
まだ1分も経ってないかもしれない
でも、そうとは思えないほどの息苦しさ
「…宍戸は、いつから気づいとったんや」
「いつから、とか。もうそんなの
関係ねぇだろ」
「せやなぁ…。俺はりおなの本性を
知ってなお、それでもアイツを
信じとったっちゅーことか。情けないわ」
なんでだよ なんでお前らはそんな簡単に
受け止められるんだよ
自分が悪かったって言えるんだよ
だって俺らがしたことは
そんな簡単に
「お前らは騙されてたからりおなの
味方をしてたのは仕方ねぇよ」
「しゃあないことあらへんわ」
「…俺は霜月の味方にもなれなくて
どっちつかずでビビってた。
激ダサ過ぎだよな。そんで今更近づいてよ」
「虫が、良すぎ。か…。確かに」
再度流れる沈黙
俺は2人の顔が見れなくて俯いてたけど
何となくコイツらの言いたいことが
理解出来た
「なんだよ!!!言いたいことあんなら
言えばいいだろ!!!!
2人して俺のこと責めてぇのかよ!!」
こんな姿、20歳超えたとは思えない
どうしようもないガキだ
あの頃から何も変わってない
むしろ、歳を重ねた今の方があの頃より
ガキくさい様な感じがする
「岳人」
「んだよ侑士!!!」
「俺らん中に責めれる奴が1人だって
おるわけないやろ」
「っ…」
「全員同罪やて。
俺らを責める権利があんのは霜月だけや」
「悪いのは俺も、忍足も岳人も含めた全員。
人として間違ったことしたんだ俺らは」
全員同罪。人として間違ったこと。
確かにそうだ
複数の人間で1人の、しかも1つといえど
歳下の女の子を
傷つけたなんて言葉じゃ済まされないほど
酷いことをしたんだろう俺たちは
「んな、じゃ、あ。どうすりゃいいんだよ…。
霜月に許しでも乞えって言うのかよ!!」
謝罪すれば、土下座でもすれば
そんな俺の情けない言葉を聞いて
侑士が冷めた瞳でため息をつく
「あんまり阿呆なことばっかり言うとんな。
何すりゃ許して貰えると思うとるんや」
「許してもらおう、なんて
言える立場じゃねぇだろ」