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愛されたい症候群。

第7章 答えが出ない自問自答




宍戸先輩に
あんなに強気に出れたのは
自分が昔より強くなったからだと
思い込んでいた

でもそれは違って


ただ、宍戸先輩はあの頃から私に
害を加えようとしてこなかったからで

端的に言えば
私は彼を舐めていたのだ

だからすぐ逃げられたし
言いたいことだって言えた


だけどこの人は違う
忍足先輩は…天才と言われるだけあって
私に対する嫌がらせも巧妙で

私が何か対策しようとも
全て無駄に終わり
掌で転がされるばかりだった


あの眼鏡の奥の
全てを見透かすような目で睨まれ

冷えきった言葉を投げかけられると

自分の全てに絶望する



中学生の時を思い出すと
どうしても逆らうことが出来なくて
忍足先輩の後ろをついていくしかなくて

私たちは図書館から離れた

今すぐにでも逃げたいのに
私の身体なのに
自由がきかなくて、まるで金縛りだ


「ほんま久しぶりやなぁ。
霜月なんも変わってへんで
すぐ気づいたわ」

「そ、うですか」


声が上擦る
普通にできない

むしろこんな状況で普通に
接することができる人がいたら
是非師匠と呼ばせて頂きたい


「まさかこんな所で会うとわな。
俺ら霜月のこと探しててん
丁度よかったわ」

「は…?」


探してた?誰が?忍足先輩が?

私を?なんで、何のために


もうあの女とは殆ど関わってない
あの人とこの人たちがまだ仲良くしてても
それはもう私には関係なくて

これだけの年月経ったんだから
流石にあの頃みたいなことは無いでしょ?


「店入ろか?
せっかくやしな」

「…、」

「ん?なんや行きたいとこでもあるん?」


嫌な方にばかり思考がはしって
やばい、ほんとに声が出ない

この通りは人も沢山歩いてるし
走れば逃げきれるか?
いや、ダメだ
だって捕まったらどんな目にあうか


もう大人だよ
殴られたりする訳ないじゃん

わかんないだって探してたって


答えが出ない自問自答
どうしよう、どうすればいい
どうすればここから逃げられるの


「黙っとっても分からへんやん」

「ひっ!!」

「は?」


呆れられたのか、睨まれたような気がして
やっと出た声が悲鳴

やばい、やだ、殴られる叩かれる
いやだいやだごめんなさいごめんなさい
無理やだ助けて誰か、


「あーすんません」



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