第1章 第一振 山姥切国広
俺も体に着いた泥を取り、着替え、ゲートを開ける準備をする。
時空を越えることができるのは刀のみ。
俺は歴史が変わらぬよう、刀剣に付喪神を付かせ、戦場に送り出すのが役目だ。
俺逹審神者は、日本政府の元、こうやって歴史が変わらぬようほぼ年中無休で働いている。
本丸の入り口の大きな門を開くと、町へ下りていく階段があるはずなのだが、ゲートを開いているため、向こう側が真っ白となっている。
「嘉六様!出陣の準備が整いました!」
「こっちも大丈夫だ。」
こんのすけと国広が走ってこっちに向かって来る。
「国広、行けるか?」
「これが本業だ。行ける。」
そう無愛想に言うと、国広は門の前に立つ。
「これが初陣となります!頑張ってください山姥切国広」
こんのすけの声は国広に届いたのだろうか、その時はすでに国広はゲートの中に入っていた。
「では、嘉六様!モニタで山姥切国広の様子を伺いますよ!」
そういい、こんのすけは俺を連れて、俺の部屋となる場所へ向かった。
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モニタの中では、国広と暦修正主義者と呼ばれるものとが写っていた。
「負けるな………」
国広は相手に圧倒されている。
それもそのはずだ。刀装も付けず、しかもレベル1の国広が相手するような敵ではなかった。
「なぁ、こんのすけ。何で国広に刀装を渡さなかった。」
そう聞くと、モニタを見ていた首をこちらに向けた。
「申し訳ありません。私の不注意で忘れておりました。」
とこんのすけは深々と頭を下げた。
(怪しい。)
ふと心に思うも顔には出さぬように適当に返事をした。
戦い終わり、国広は重症となっていた。
相手の勝ちだ。
だが、何故か俺は敗北したと思えなかった。
ゲートが開き、ボロボロになった国広が出てきた。
俺は国広に肩を貸した。
「本当にすまない。お前の体は治ろうと、心はなかなか癒えんだろ。」
そう言うと、国広は
「治してくれようとするだけましだ。」
そう言って俺から顔を逸らした。
(可愛いやつめ……)