第1章 友哉
嫌なヤツって思ってたのに・・・なんでだろう。
「ねぇねぇ、昨日佳奈ちゃんと倉野が一緒にサボってたんだって!」
「しかもなんか一緒に帰ってなかった!?」
クラスの子が小声で話しているのが聞こえた。
倉野君といると目立つんだった・・・。
目立つのは嫌だな。面倒だし。
距離おこう・・・。
私はそれから距離をおいた。話しかけられそうになったら、誰かのところにいって話に加わったり(嫌だけど)、外に出たりした。
5時間目後の休み時間になった。
倉野君は教室にいなかった。私は一安心してトイレにいこうと教室を出た。
(よかったー。これ以上目立つのは嫌だからね)
もう、関わらないでおこう・・・。
「本城」
左の方から声がした。倉野君がいた。
私は教室のドアを急いで開けようとした。が、開ける前に手首を捕まれた。
「なんで逃げんだよ」
倉野君は怒り気味で言った。
「今日ずっと俺避けてたけど。何で?」
「倉野君と一緒にいると目立つんだもん。なんか広まってるし。サボってたこととか一緒に帰ったこととか・・・」
「俺と一緒にいるのが嫌ってこと?」
嫌ってわけじゃないけど…。
というか手首いつまで…!だれか見てたらやばい…。
…
こういうときに誰もいない!!
いや、この状況見られるのは嫌だけど、誰かいたら手首離してくれるかもとか思うじゃん!
「俺は」
「俺は昨日お前と一緒にいて楽しかったけど」
…え?
今、なんて…楽しかったって言った?
なんで
なんで
私今嬉しいって思ってる…
私は倉野君との会話で気付かなかった。その時
隣のクラスのある男の子が見ていたことなんて…
「好きです」
…………
え?