第4章 父親
次の日
席替えがあった。
昨日のことは結局何もなかったように終わった。
男子は、男子のくじを引き 女子は女子のくじを引くというやり方だった。
今回の振り分けは単純だった。男子の1番 女子の1番は隣同士になる。
私は5番だった。
一番後ろの窓側だった。
ここは、一番ベストの席だ。
「お前何番だった!?」
「えっと俺は…」
あーあー盛り上がってますなー。私は誰が隣でも誰が近くでも基本的に話さない。話しかけられたら適当に返す。
「倉野、どこ~?」
「5番」
私はそういう人間、人とは極力関わらない。
特に、倉野君とは…。
…ん?
「あーじゃあ本城さんの近くじゃね?」
…え…。
ええええええええええ!
「へー…」
今、関わらない宣言したところなのに!
みんなが引き終わり席を移動させた。
せっかくベストな席だったのに一瞬で覆させられた。
「よ!ゆーや!」
倉野君の前の席の男子が話しかけた。
「おお!そうじゃん!」
「そう」というのは宮村奏太君のことだ。
…この二人は仲がいいのは知ってたけど、名前で呼び合ってるんだ。
「本城もよろしくー」
宮村君が話しかけてきたので
「うん、よろしく」
返した。ときに
「…作り笑い」
ぼそっと倉野君が言った。
「…倉野君もよろしく」
私は最高の笑顔(もちろん作り笑い)で倉野君に言った。
「よろしくなー」
倉野君も笑顔で返してきた。しかし倉野君の笑顔というのはだいたい何か企んでいる。そしてその後またぼそっと、
「…色んな意味で」
と言ってきた。
…どう意味だよ。付き合うってこと?
6時間目 総合だった。
将来の夢についての話だった。
前の席のめぐみちゃんが聞いてきた。将来の夢あるかって。
将来の夢
ないよっていった。
「…」
なぜかその時倉野君にガン見された。