第35章 歌とぬくもり
モモが出て行ったあと、家の中ではコハクが海賊たちに質問…ではなく、海賊たちによる質問攻撃が始まっていた。
「なぁ、モモっていくつだよ? めっちゃ若そうに見えるけど…。」
「えっと、23歳…だったかな。」
「わっか! 23歳って、若すぎ!」
興味のない素振りをして、しっかり聞いていたローも内心驚く。
ローは今、26歳。
年下じゃないかとは思っていたが、3つ下だったとは…。
「でも、コハクは6歳ッスよね。だとしたらモモが23歳ってのは若すぎないか? もしかして生みの母ちゃんじゃないのか?」
「…ペンギン!」
相変わらず空気が読めず、爆弾発言をしてしまう彼をジャンバールが慌てて制す。
「あ…悪ィ、無神経なこと、言っちまったッス。」
まだ幼い子供になんてことを。
さすがに反省してうなだれる。
「は? なに言ってんの。オレはれっきとした母さんの子だよ。母さんは17歳でオレを産んだんだ。」
ぶふ…ッ!
これにはシャチもペンギンも吹き出した。
「「じゅ、じゅ、17歳…!?」」
17歳って、いくつだよ!?
その時 俺たち、なにしてた!?
若すぎる出産に、自分たちが産んだわけでもないのに、あわあわと慌てふためく。
「…父親は、海賊だと言ったか。」
「そうだけど…。」
急に会話に入ってきたローに、ちょっとびっくりした。
なんだ、ちゃんと話を聞いてたのかよ…。
ずっとベポの方を見てるから、聞いてないのかと思った。
「父親は…、なぜいない。」
先ほどの話から察するに、父親は当時の海賊仲間かなにかだろう。
自分の女を孕ませておきながら、こんな無人島に置き去りにしたのか。
それも、一度も会いに来ず。
モモにそんな仕打ちをする男を、なぜだか殺してやりたい気持ちになった。