第26章 魔女とトナカイ
王宮への侵入。
それはシャチとペンギンにとって予想通りの展開だった。
だから異を唱えず、すかさず「了解」と返事をする。
それに慌てたのはベポの方。
「ま、待ってよ。王宮って、ドラムロッキーのてっぺんだよ?」
「だからどうした…って、……あ。」
ベポの言わんとすることをシャチも察した。
急勾配の険しい山。
でもそんなのは、自分たちにとって朝飯前。
けど、モモは?
とてもじゃないけど、ついて来れない。
「えっ…と。」
「…わたしは船で待っているから。」
口ごもるシャチにモモは言った。
自分が足手まといになることくらい、1番わかってる。
「ボクも残るよ。ほら、荷物も運ばないといけないし…。」
なにより、モモをひとりにするわけにいかない。
ね?っと言うベポをローは真剣な眼差しで見つめた。
本当は自分がモモの傍にいてやらなければいけない。
でも、ドフラミンゴのことだけは、自分自身で動かないと気が済まないのだ。
「……頼む。」
結局、ベポに甘えるしかない。
「アイアイ! みんなも気をつけてよね!」
統率が取れていないとはいえ、相手は王国だ。
下手すれば面倒なことになってしまう。
「……悪い。」
傍を離れるなと言った自分が、今は離れていってしまう。
約束が違うことを詫びた。
「やだな、謝らないで。わかってるわ。」
ドフラミンゴという存在が、どれほどローにとって重要なのかは理解しているつもりだ。
「でも、本当に気をつけてね。」
「ああ。」
ローの手がモモの頭を撫で、屈んだと思ったら、乾いた唇が掠めるように自分のソレに触れた。
「……!!」
「…行ってくる。」
突然のキスに驚いて口をパクパクさせると、ローがイタズラを成功させた子供のように笑った。
「あーあ、見せつけてくれちゃって…。」
「もう見慣れたもんスよね。」