• テキストサイズ

セイレーンの歌【ONE PIECE】

第3章 ハートの海賊団




その日の夕方、モモはベポを見つけてその背を叩いた。

「ん、どうしたのー?」

(航海は順調?)

「うん、順調だよ。進行方向に向かって潮が動いてるから、たいした舵も取らずにすむしね。」

それは、好都合。

(どっちに島があるの?)

「あっちだよ。」

ベポが指差す方向を眺める。まだ島の影は見えない。

(…ねえ、ベポ。)

「なあにー?」

(わたし、みんなと出会えて良かった。)

ベポの手をギュッと握る。

「どうしたの急に。ボクもモモと出会えて良かったよ。」

(ベポ、わたしね、今まで友達がいたことなかったの。だから昨日、ベポが友達だって言ってくれてすごく嬉しかった。)

どこまで伝わるかわからないけど、素直な気持ちを伝えた。

(ありがとう。)

「ボクの方こそ、ありがとう!」

(もしまた会うことが出来たら、そのときも友達って言ってくれる?)

「もちろんだよ!」

ベポの答えに、モモは嬉しそうに微笑んだ。

「でもどうしたの?まだ島にも到着してないのに。」

(…なんでもないの。)

ただ、伝えたかっただけ、とモモはベポと2人、手をつないだまま沈み始めた夕日を見ていた。







ベポと別れた後、モモは海賊船に備え付けられている小舟を一隻、海に下ろした。

(ごめんなさい…。)

恩を仇で返すようなことして、ごめんなさい。

きちんとお別れを言えなくて、ごめんなさい。


でもこれ以上ここにいたら、もし次に引き止められたとき、言ってしまいそうだ。

「ここにいさせて」って。



(…さようなら。)


小舟に乗り込みロープを切ると、潮の流れに乗って海賊船からどんどん離れていった。


/ 1817ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp