第24章 幸せを呼ぶ潜水艦
「じゃあ、なにをされた? 言ってみろよ。」
「え……。」
正直、そんなこと言いたくはなかった。
もう思い出したくもない。
「…いいじゃない、そんなこと。」
「フザけんな、いいわけあるか。」
鼻と鼻がぶつかるほどの距離で、ローの目が自分を見つめて離さない。
「お前のこの肌には、まだアイツらの感触が残ってるんだろ? 俺はそれが許せねェ。」
もしできるのなら、そんな事実はなかったことにしたい。
でも、そんなことは無理だ。
だったらせめて、自分の熱で彼女の記憶を上書きしてやりたいのだ。
そうしないと、気が済まない。
「…言えよ。」
ローの強い眼差しに、モモは自分がここで折れなければならないことを悟った。
本当は言いたくない。
でも、言わねばローも自分も、先に進めないから。
「胸を…、触られた。」
消え入りそうなモモの言葉を聞き、ローはそれならばと着ていたトップスを脱がしてしまう。
膨らみを覆う下着も外した。
ローの目の前に白く形の良い胸が晒け出される。
「ここは…? 触れられたのか?」
桃色に色づく先端をそっと撫でた。
「ん…。」
温かな指に触れられて、ついピクリと反応してしまう。
「どうなんだ。」
「……触られたわ。」
「…殺してやりてェ。」
眉間にシワを寄せ、もう何度思ったかわからない気持ちを言葉に出す。
「…ごめんなさい。」
そんな気持ちにさせてしまって。
そして、自分のワガママで、彼らを見逃させて。
「謝んなよ。謝らなきゃいけねェのは、俺の方なんだ。」
もう2度と、モモをこんな目にあわせたりしない。
誓うようにモモの胸に、心臓に、口づけた。