第24章 幸せを呼ぶ潜水艦
ウォーターセブンへ着くなり、ローはモモの治療にあたると言ってホーキンスと別れた。
モモはホーキンスにもっときちんとお礼が言いたかったのだが、ろくに動きもしない身体を心配してか、ホーキンスがまだ数日はこの島にいると言うので、今日のところは引き下がることにした。
ローはその足で昨夜と同じホテルにチェックインすると、部屋で早々にサークルを張った。
どうやら本当にモモをバラバラにして薬物を取り出すつもりらしい。
でもそんなことをしなくても、海兵はそのうち効果も薄れると言っていたし、一応モモにも残る乙女心が、恋人の前でそんなホラーな醜態を晒したくないと告げたこともあり、全力で遠慮した。
海兵の言うことなんて信じられるか!
と言うローと、
これ以上恥ずかしい思いはしたくない!
と反論するモモ。
結局2人は“ヒスイの蜜で解毒する”という方法で落ち着いた。
ちなみにヒスイ本体は、傷口を培養土に埋めておくと治りが早いことがわかり、アイスバーグに頼んで造船所内に置いてきた。
「ん…んむ…。」
ローから口移しで蜜が流し込まれる。
ゴクン…。
麻痺して感覚の鈍くなった喉で、必死に嚥下した。
効果はてきめんで、すぐに身体の先の方から痺れがじわじわと取れていく。
ホッとしたのも束の間、チュッと音を立ててローがモモの舌を吸う。
「ん…ぅ、ロ…ー…。」
もう蜜は飲み込んだ。
口を離して欲しい。
「…なァ、海兵のヤツらにこの唇を吸わせたのか?」
モモの唇を甘く食みながら、ローが尋ねてくる。
キスは、されていない。
ふるふると首を振った。