第21章 魔術師のカード
「や…、んぅ…ローッ」
大きな手で後頭部を掴まれ、抵抗できなくされてから、ローはひたすらモモの口内を蹂躙した。
短い舌を吸い、歯列を割って自らの舌を押し入れる。
ローの舌は長くて、押し込まれるとそれだけでモモの口の中はいっぱいになってしまう。
閉じることのできない口の中をローの舌が生き物のように蠢く。
口内は性感帯だというのは、あながち嘘ではないと思う。
だってローの舌が歯茎や上顎を舐め上げるたび、ゾワゾワとした震えが全身を走るから。
「ん…、ふぅ…ん。」
ここは外だというのに、いやらしい声が唇の隙間から漏れ出してしまう。
フレアスカートの上から、ローの手がモモのお尻を掴んで揉みしだく。
「んッ、んん…!」
やめて、触らないで…。
膝がガクガクと震え、自分の股の間がジワリと湿り気を帯びるのを感じていた。
チュッと音を立てて、ようやく唇が解放される。
「ん…、ハァ…ハァ…。」
突然の口づけに息が上がり、ローの胸に額を押し付けて自分を支えた。
「……行くぞ。」
「え…、どこに…? あ、待って。わたし今、足が…--」
足が動かない。
そう言おうとしたけれど、その前にローが片腕だけでモモを抱き上げてしまう。
「きゃあ!」
急に高くなった視界に驚きながらローの肩に縋りつく。
しかも、あろうことかそのまま歩き出してしまうのだ。
「ま、待って…! 下ろしてッ、恥ずかしいわ。」
人気が少ない裏町とはいえ、大の大人がこんな体勢で運ばれているのはすごく恥ずかしい。
「知ったことか。俺を心配させた罰だとでも思うんだな。」
「そんな…!」
本当にスタスタと歩き出し、モモは恥ずかしさのあまり目を瞑ってローにしがみついた。
だから幸か不幸か、ローが目指した場所はモモの視界に入らなかった。