第21章 魔術師のカード
(自由行動かぁ…。なにしようかなぁ。)
前を歩くローのあとを、モモはウキウキとついて歩く。
この街はとにかく人が多い。
はぐれないように気をつけなければ。
(前回の自由行動は大変な目にあっちゃったからな…。)
メルディアに騙され、アイフリードに攫われてしまった。
結果的にはローと想いを通わせることができ、大切な親友も手に入れたけど、そのぶん迷惑も掛けてしまったので今回はそんなことのないようにしたい。
特に、この島は政府の息が掛かっているのだから。
注意して行動しないとな…。
そう思った矢先のこと。
「きゅ…、きゅきゅぃ!」
ヒスイがモモの肩からピョンと飛び降り、人ごみを縫うようにして走っていってしまった。
「ヒスイ! ダメよ、待って…ッ」
こんな広い島で迷子になったら大変。
急いでそのあとを追いかけた。
「あ、船長。案内図ありましたよ。」
「この島、かなり広いッスねー。えぇっと、集合場所は……。この先の広場に噴水があるな。そこはどうッスか?」
確かにそこならば迷うこともないだろう。
「構わねェ。そこにしよう。」
「じゃ、3日後の昼に集合ってことで。」
「アイアイ!」
そうして3人とも嬉々として解散した。
さて、自分たちはこれからどうするか。
「オイ…--!?」
後ろを振り向いたとき、そこにモモの姿はどこにもない。
「な…ッ」
いったいいつの間に!?
しかも面倒事を起こすなと言った矢先に。
「チッ…、アイツ…!」
モモが消えた事実と、しっかり見ててやらなかった自分に苛立ちつつ、ローは身を翻して来た道を駆け戻る。
どうしてモモはいつも、自分の胸をこんなにも掻き乱すのか。
いつだって振り回されてばかり。
見つけたらただじゃおかない。
そしてもし、モモの傍に第三者がいたのなら…。
自分からモモを奪おうとする輩がいたのなら…。
(…殺してやる。)