第20章 造船所
ローに連れられて来た先では、シャチとペンギンが退屈そうに待っていた。
「あ、モモ、ベポ。どこうろついてたんだよー。」
「待ちくたびれたッス。あー、早く酒が飲みてぇ…!」
この2人ときたら、そればっかり。
「ごめんなさい。ちょっとボーッとしてて…。」
「もう腹減って死にそうだよ。メシ行こうぜ! なんでも、“ブルーノの酒場”ってのがガレーラのヤツらのオススメらしいぞ。」
ちゃっかりそんな情報まで仕入れていたらしい。
「船が直るまで宿も取らないといけねェな。一度中心街へ行くか。」
「「アイアイサー!!」」
一同は再びヤガラブルに乗って、造船島を後にした。
中心街に着くと、先ほどは寄り道できなかったお店にそれぞれ目を奪われてしまう。
「見てよ、モモ! 水水肉だって、お、おいしそう~!」
「海の深層水からできた銘酒!? 飲みたいッス! 船長、買って買ってこうよ!」
「うお、あのおねーちゃん色っぺー…。どこの店のコだろ。」
肉、酒、女。
みんな言うことがバラバラだ。
モモはといえば…。
「あ、あの本屋さん大きいな。この島、流通が盛んみたいだし、どんな本があるのかしら…。」
本屋に釘付け。
「……ハァ。」
とりあえず宿を取ろう、と言ったばかりなのに。
どいつもこいつも、マイペースなヤツらばかりだ。
いや、彼らに協調性を求めた自分が悪かったのだろうか。
「…船の引き取りは3日後だ。それまで各自、自由行動にする。」
くれぐれも面倒事を起こすんじゃねェぞ、と念押しをする。
「「ぃよっしゃー!!」」
船長の言葉に、みんな飛び跳ねんばかりに喜んだ。
「待て、船はねェんだ。落ち合う場所を決めるぞ。」
確か広場に島の案内図があったはず…。
一度そこへ移動して、今後の予定を決めようと話した。