第13章 証
ローはそっとモモの手から指輪を取り、左手の薬指にそれを嵌めた。
キラキラと輝くスター・エメラルドは、あの日見たどの宝石よりも、夜空に輝くどの星よりも、眩く、痛いほど美しい。
「…ロー。」
ボロボロと零れる涙を止められない。
「どうしよう、わたし。…死んでしまうくらい、幸せだわ。」
涙に濡れて、グシャグシャの顔のまま、モモは心の底から微笑んだ。
ローはその笑顔が、流れる星より、スター・エメラルドより、なによりも美しいと思った。
この美しい笑顔が、永遠に絶えぬよう、これからずっと守っていくのだ。
これが、自分がモモに捧げる、愛の証。
「死ぬなんて、言葉にするな。お前がいなくなったら、この先俺はどうやって生きていけばいい?」
また怒りと憎しみだけの自分には戻りたくない。
「ごめんなさい…。でも、それほど幸せなの。」
誰かを愛することが、こんなに幸せだと教えてくれたのは、あなた。
「わたし、あなたになにを返したらいいのかな。」
いつも自分だけが貰ってばかり。
「バカ言うなよ。俺の方が貰ってばかりだ。」
自分が誰かを愛せるのだと教えてくれたのは、モモ。
彼女には返しきれないほど、多くのものを貰った。
それを一生かけて返していきたいのだ。
だから、一生、傍にいて欲しい。
言葉にできないけど、指輪に込めた一言。
『愛してる』
「ねえ、ロー。わたしも、愛してる。」
だから、一生、傍にいさせて。
ふたりは、流れる星たちに見守られながら、誓いのキスを交わした。