第50章 自由のために
このまま呼吸を奪うほど、荒々しく口づければ、モモは起きるだろうか。
こんな行為をしておきながら、なんとなく起こしたくなくて、彼女の上唇を柔く噛む。
いつものように、舌を侵入させることもせず、唇を何度も食み、啄んだ。
「んん……。」
目の前でモモの瞼が動き、長い睫毛が震える。
名残惜しさを残しつつも、ぺろりと舐めてから唇を離す。
脇腹を這って、薄い布地のシャツの中に片腕を侵入させた。
素肌に触れれば、先ほどの冷え込みが嘘のように温かい。
滑らかな肌の感触を楽しみながら、ローの手のひらは上へ上へと移動していく。
胸の膨らみに到達し、柔肉をそっと揉み上げて気づいた。
(コイツ、下着をつけてねェ。)
胸を包む女性の下着は、なかなかに締めつけられるらしく、寝る時は外す人が大半だと聞く。
だが、モモはバスルームから部屋まで、この格好で歩いてきたのだ。
下着をつけず、無防備なまま。
途中でベポと出くわしたと言っていたが、相手が白クマでなく、シャチやペンギンのような不埒な男だったらどうする。
彼らがモモをどうこうすることはあり得ないが、卑猥な妄想を広げ、鼻の下を伸ばすくらいは十分あり得る。
危機感のなさに苛立ちを覚え、勃ち上がってもいない胸の先端をぎゅっと摘まんだ。
「あ……。」
寝息と共に、甘い声が漏れ出し、モモの身体がぴくりと動く。
苛立ちのまま、強く捏ねすぎないよう注意しながら、くりくりと親指の腹で潰す。
しだいに柔らかだった先端に固さが生まれ、凝るように勃ち上がる。
感触だけでなく、その様子を見たくなった。
誘惑に勝つことができず、シャツを捲り上げると、形の良い果実がぽろりと零れ出た。
刺激を加えた先端はもちろん、触れていない方の頂もぴんと勃ち、誘われるようにして、もう片方を口に含んだ。
「ふ…ぅ……。」
モモが呻くように反応したが、どうにも止めることができなくて、口に入れた先端をつついたり、飴のように転がした。