第48章 欠けた力
この島に来た時は、キラーも村人たちも、命を落としかけていた。
それが今や、誰もが元気を取り戻し、モモたちを見守っている。
マスク被ったキラーからは、顔色も表情も窺うことはできないが、たぶん優しい笑みを浮かべてくれているはず。
いつか、そのマスクの理由を話してくれたらいいな。
その隣に立つキッドは、にこりともせずに、こちらを眺めている。
無愛想で乱暴で、優しさすらも不器用な彼からは、たくさんのことを学ばせてもらった。
それは、仲間たちとでは気づかなかったこと。
言葉の責任の取り方や、己の考えの甘さ。
それに、自分の手で殺めてしまうとしても、仲間を助けたいという強さ。
正直、彼を眩しいと感じることが何度もあった。
けれど、次は。
次は、ぜったいに見返してみせる。
そして、ホーキンスさん。
お世話になったのに、挨拶もできずにごめんなさい。
わたしの未来を心配してくれて、本当に嬉しかった。
だけど、すみません。
わたし、セイレーンの力を取り戻します。
占いで出たように、良くないことが起きるかもしれないけど、それでもローと、みんなと一緒に未来を変えていくから。
この島で出会った3人の海賊。
2つ海賊団。
いつかまた、再会する日が来るだろう。
この海は、広くて狭いから。
次に会う時は、海の上か陸の上か。
敵か味方か。
味方だと、すごく嬉しい。
でも、敵だとしても、闘ったあとに宴でも開いて、「あの時こんなこともあったね」と笑い話にして語りたい。
いつか、そんな未来がくるといい。
だから、そんな日まで元気でいてね。
「……さようなら。」
またいつか、会うその日まで。