第47章 病魔の住処
村はずれの廃屋に戻ってくると、家の前でホーキンスと出くわした。
「…無事だったか。」
モモを探しに出ていたのだろう、変わらない表情の裏に安堵の色が窺えた。
「ごめんなさい、心配かけてしまいましたね。」
「いや、俺も現状を説明すべきだった。すまない。」
聞かないで飛び出したのはモモなのだから、ホーキンスが詫びる必要なんてないのに。
キッドとは正反対の優しさに触れ、自然と眉尻が下がる。
「村の人たち、とても怒っていました。病気が蔓延したのはわたしたちのせいだって。…どういうことですか?」
キッドに尋ねてもわからなかったことを、ホーキンスにも聞いた。
けれど、彼も同じく「わからん」と首を横に振るしかない。
「だが、村で病が流行り始めたのは、俺たちがやってきてからだ。それが関係しているのかもな。」
「ホーキンスさんたちは、いつ頃この村に?」
「ひと月ほど前だ。」
それほど前のことではない。
だとしたら、病が蔓延したのもつい最近ということになる。
なぜ、それがホーキンスたちのせいになるのか。
その答えを知るには、やはり村人に尋ねるしかないようだ。
「モモ、もう村には行かない方がいい。」
「でも…。」
原因を解明しなくては、キラーの治療にだって踏み切れない。
「連中と接触したのなら、わかっただろう。アイツらは、お前になにをするかわからん。」
キッドやホーキンスと一緒にいれば、さすがに危害を加えることはないが、そうでなければ先ほどのようになる。
「ひとまず、キラーの治療にあたってくれないか?」
原因はわからないけど、症状を多少抑える薬なら、自生する薬草などから調合できるだろう。
効くかどうかは不明だが…。
「…わかりました。」
とりあえず今は、自分にできることから始めよう。