第44章 剣と秘薬
「は…ぁ…ッ」
形の良い柳眉を限界まで引き絞り、モモはローの腕に爪を立てた。
艶めかしい彼女の表情を目に焼きつけ、ローはゆっくりと腰を押し進めた。
「……モモ。」
緊張ゆえか、時折モモは息を止める。
けれどローが名前を呼ぶと、薄目を開けて四肢の強張りを緩めてくれた。
蜜壁に締めつけられ、刺激に耐える彼女に劣情を掻き立てられながら、根元まで蜜壺に沈める。
幾度身体を重ねても、決して慣れることはない。
ローは大きく息を吐きながら、己を落ち着かせようと努める。
「んんッ、ロー…ッ」
冷静さを取り戻そうとしているローとは反対に、モモは顔を切なげに歪ませてローを呼ぶ。
「やめろ、そんな顔で見るな。」
せっかく自制しているのに、タガが外れて暴走してしまいそうだ。
しかし、モモにはそんなローの言葉など聞こえていないのか、艶めいた息を吐く。
「お願い…、焦らさ…ないで。」
「なにを…。」
耐えているのはこちらの方なのに、モモはまるで自分が苛められているかのように涙を溜めた。
「お前、俺がどれだけ我慢していると思って…。」
今だって、むちゃくちゃにしてやりたくてウズウズしているというのに。
「我慢なんて…、しないで…。わたし、もう…ッ」
挑発ともとれるモモの言葉に、ローの自制心がプツリと切れる。
「どうなっても…知らねェぞッ」
悪魔のような誘惑をする赤い唇に噛みつくようにキスをして、ローは乱暴に腰を突き上げた。
「んぅ…ッ」
塞いだ唇から嬌声が漏れ、身体が弓なりに反る。
優しく少しずつ交わろうと思っていたのに、こうなってしまっては制御ができなくなった。
高ぶりすぎた楔で蜜壺の最奥まで抉り、ぐちゅぐちゅと淫らな音を立てて腰を振りたくる。
「ふ…んッ、ん…んんぅ…ッ」
蜜壺を穿つたび、唇の隙間から漏れる声がローの欲望を煽る。
岩の上に散った絹のような髪が律動に合わせて乱れ、カモミールの香りをまき散らす。
安静効果をもたらす香りが真逆の感情を与え、ローはモモの唇を貪った。
震える吐息を食らい、結合部を押し回すように揺さぶる。
けれどふいに、力強く突き上げるたび、彼女の吐息が止まってしまわないか不安になった。