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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第43章 覚悟




「ん……。」

翌朝、モモは夜更かしをしてしまったにもかかわらず、スッキリとした気分で目覚めた。

心が軽い…と感じるのは、おそらく勘違いではないはずだ。

昨晩はルフィの前で泣きじゃくるという醜態を晒してしまったが、おかげで心のつかえが取れた。

きっともう、あの日を悔いて夢見ることはないだろう。

「んんー…ッ」

大きく伸びをしてベッドから降りると、いつもの朝だけれど、昨日とは違う新しい朝が始まった。


モモの朝は早い。
それは食事の支度や洗濯などの家事を一手に請け負っているからだ。

だけど、今この船のクルーたちは半数以上が不在である。

同盟中である麦わらの一味の船に、そのまま寝泊まりしているからだ。

昨日の様子からして、サンジはモモたちの朝食を当たり前のように用意してくれるだろうし、そうなるとモモの仕事は一気に減ってしまう。

「ああ…、ちょうどいいわ。新しい苗を植えましょう。」

完璧な設備のくせに、長年放置されていたこの船の温室は、まだまだ手つかずのことが多い。

そのうち時間が空いたのなら、いろいろと植え替えをしたかったのだ。

そうと決まれば善は急げ。
モモは手早く身支度を整えると、道具を手に温室へ向かう。


「……。」

部屋を出る前に、壁に取り付けられた隣の部屋へと続くドアへと目を向けた。

ローはまだ、眠っているだろうか。

昨晩、泣き疲れて部屋に戻ったモモはベッドに潜り、すぐにウトウトしてしまった。

それからどれくらい経ってからのことか。
おそらく深夜の時刻に、隣の部屋にローが帰ってきた物音がした。

こんな時間まで、いったいなにをしていたのだろうと不思議に思ったが、眠気に勝てず、そのまま眠りについた。

その昔、同じ部屋で共に過ごしていた頃は、彼の様子を物音だけで知ることなどなかったが、今はそうもいかない。

2人を隔てるドアは、まだ一度も開いたことはない。

ドアノブに手をかけて隣の部屋に行くことは、きっと簡単だろう。

でも、それがひどく難しい。

いつか、あのドアを開く日はくるのだろうか。

そんなことを思いながら、モモは部屋のドアを開き出て行った。



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