第2章 出陣の日
「...そっか。」
本当にただそれだけだった。
私から目線を外し、少し俯きながら安定は一言、そう呟いた。
「........」
安定の表情からは感情が読み取れず、少しの沈黙もとても長く感じる。
それでも、黙って待つ事しか出来ない自分がもどかしい。
「主。」
「?.....っ?!」
分かってはいたにせよ、自分で止める事の出来ない状態で勝手に過去を見られるのは誰でも嫌だろう。
責められても仕方がない。
そう覚悟していた私に訪れたのは、
安定からの優しい抱擁だった。
「普通にしようとしてくれて、ありがとう...。」
「え?」
まぁ...見られちゃったものは仕方ないよね。
腕を緩めながらそう言った安定の顔を見ると私を見ながら少し微笑んでいた。