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あなたの好きをまだ知らない。

第8章 冬日


「なになに?少し気持ちよかった?」

「あぁ…」

自分でするのと違う…と言うと誤解が生じるかもしれないが、まさしくその通りだった。
それに、美寿子の足の温度がまた暖かくて、俺の心臓は鼓動を早めた。

「よーし、じゃあ反対ね。」

「うん…」

顔を反転させると、もちろん美寿子の体が見える訳で…

「冴杜?どうかしたの?真っ赤になっちゃって。」

「い、いや…何でもないよ…」

更に激しくなっていく心臓に、俺はじっとしていることしか出来なかった。

「…冴杜と会ってから色んな事あったよね。」

「そうだな…体育祭も、海も、文化祭も。
来年になりゃ受験だけど、きっと来年だって楽しいはずだよ。」

「そうだよね…じゃあ…そろそろ…さ?」

耳掻きを止めて、美寿子は俺を立たせた。

「…どうかしたか?」

「その…私達、もう半年以上付き合ってるんだよ?」

「あぁ…そうだな。」

半年記念のプレゼントも買ったのだ。
忘れるわけがなかった。

「…冴杜って、変な所鈍感だよね。」

「は?」

次の瞬間、美寿子は俺に抱きついてきた。

「私は…冴杜なら…ね?」

美寿子の目は、それはそれは覚悟で満ち溢れていて、俺も、美寿子の柔らかさに我慢の限界だった。
「…するか…」

「うん…でも、ちゃんと着けてね?」

「んな事言われなくても分かってるよ。」

バカらしい会話を終えると、美寿子の目がゆっくりと閉じられていく。
そして、お互いを求めた。

……………

目が覚めたのはもう外は暗かった。
美寿子はぐっすりと眠っていた。
後少ししたら起こさなくては…

俺は階段を降りて母さん達を探していた。
もう夜だから、流石に父さんも帰っているだろう。

「あ、母さん…」

「冴杜…ようやく起きたの?」

「どうしたの、真っ暗だけど。」

「いや…その…冴杜と美寿子ちゃん、寝てたから。私も寝よっかなって…」

「み、見たのか…」

「…まぁね、これから私父さん迎えに行くから、30分ぐらい二人で大丈夫よね?」

「あぁ…大丈夫…」

母さんが出ていくと、少し冷静になった。
まずは美寿子を起こしに行かなくては…
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