• テキストサイズ

あなたの好きをまだ知らない。

第6章 輝海


「着いたー!!」

「疲れたー!!」

「寝てぇー」

「こら、冴杜。
それに美乃里ちゃんも。」

「いやーだって電車座りっぱなしだったじゃない?」

電車で1時間。
リゾート施設のある海辺へと私達はやって来た。

「じゃあ、まずは荷物を…」

「冴杜、まずは海でしょ!」

「は?でも、この荷物じゃ…」

「美乃里ちゃんが海の家に知り合いがいるらしいから。大丈夫だよ!さぁ、行こう!」

先に行ってしまった二人を冴杜を引っ張って、浜辺へ追いかけた。

.......

「美乃里ちゃん、まだ緊張してる?」

「ううん、電車の中で少し話したから、ある程度ましになった。」

「良かった。
ホテルは一応ペアだから、二人っきりだよ?」

「う、うん…頑張るよ…」

きっと、不安なんだろうな。
とか心の中で思いながら、私は水着を着た。

「美寿子ちゃん…柊くんが羨ましいよ。」

「え?なんで?」

「ま、それは会ってからのお楽しみだね。」

美乃里ちゃんが走って行くのを私は後ろから追いかけた。

「お、指塚、丸山ならかき氷買いに行ったから、行ったらどうだ?」

「あ、うんわかった。サンキュー、柊。」

「冴杜、私達も何か買わない?」

「いいけ…ブッ!!」

冴杜が急に口をおさえたからどうしたのか尋ねた。

「い、いや…美寿子…水着…」
「ん?かわいい?」

わざとらしく聞くと、冴杜は顔を赤くしていた。

「か、かわいいと思うよ…」

「ありがとっ!!行こっか!!」

そう言って手を取って海へと走り出した。

.......

「あー遊び疲れたー」

「美乃里ちゃん、丸山くんと遊べた?」

「うん…手、繋いじゃった…」
「わーすごいよそれ…」

「二人とも何話してるんだ?」

と、不意に丸山くんが話しかけてくるものだから、少しビックリしてしまった。

「な、何でもないよ。
さ、冴杜。部屋ついたら、何しよっか?」

「…もう寝たい…」

「えー!!折角ゲーム持ってきたのに…」

と、二人から何だか分からない、同情のような目線が向けられていたことに、私は気付く訳もなかった。
/ 33ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp