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あなたの好きをまだ知らない。

第4章 夏晴


「じゃあ俺はリビングで寝るよ。」

「ダメ。ここで寝るの。」

なぁ、美寿子さんや。
誘ってんのかい?それは。

「俺、男だぜ?」

「良いでしょ?別に変な事する訳じゃないし。」

こやつは男を知らないみたいだな。

「わぁったよ。」

泣く泣く隣で寝ることになってしまった。
しかし、2時になっても寝れないでいた。

「冴杜、寝れないの?」

「あぁ、ちょっとな…」

「じゃあ、手繋ごっか。」

向かい合うのが恥ずかしいが、それぐらいなら我慢できると、そっと手を繋いだ。

「冴杜の手って固いんだね。」

「美寿子は柔らかいな。」

「それ、セクハラ?」

「違う!…」

「ふふ…嘘よ。」

手を通じて美寿子の温度が体に染み渡る。

「冴杜ってさ、泣き虫だよね。」

「は?何でだよ。」

「だって、さっきも泣いたのに、今も泣いてる。」

「えっ…あ…」

そう言われて、頬を拭うと涙が伝っているのが分かった。

「まだ嫌なことあったりするの?」

「いや…美寿子といると…
なんか暖かくてさ…」

自然と零れる涙に、俺は困っていた。

「良いよ。今度は私の胸貸してあげる。」

何となく恥ずかしかった。
だが、嬉し泣きのような感情には勝てなかった。

「なんか、悔しかったのかなぁ…何でか分かんないけど…
何でこうなっちまったのかなぁ…」

「冴杜は悪くないよ。
私は、ずっと冴杜の傍にいるからね?」

それから俺は眠ってしまい、後の事はよく分からなかった。

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