第3章 陽炎2
「冴杜、来てくれてたんだ。」
「あぁ、それより美寿子、すげぇじゃん。」
「いや、冴杜程じゃないよ…」
「つか、表彰式良いのかよ。
あいつら待ってるぞ。」
冴杜の指差す方を見ると、美乃里ちゃん達が手を振って呼んでいた。
「行ってくるね。」
走って皆のところに行くと表彰台には私が登ることになっていた。
「わ、私?」
「そうよ!MPV兼得点王なんだから!」
「ささ、柊君も見てますよ?」
「なっ!冴杜は関係ないでしょ!」
「おーちゃっかり名前で呼んじゃってるし。」
「…はぁ…」
最終的にクラス結果も1位だった。
.......
「はぁ…疲れた…」
「私も少し疲れちゃった。
冴杜頑張ってたもんね。」
帰り際、いつもの帰り道の途中の大きな木の下で二人座って過ごしていた。
「明日休みだし、寝るとするか。」
「ふふふ、冴杜寝るの好きだよね。」
「だって、何にも考えなくて済むだろ?それに、俺は食欲より睡眠欲だから。」
とか言ってる割りに、冴杜のお腹は大きな音で鳴り始めた。
「それじゃあ示しがつかないわよ。」
「とは言っても、腹は減るんだ。あ~飯どうすっかな~」
こんなに楽しいはずはなかった。
きっと、分かり合えるってこうゆう事なんだって、そう思っていて不意に口から漏れてしまった。
「冴杜、家でご飯食べる?」
「え!!美寿子の家!?」
「…あ///ち、違うの!ただの独り言で…」
「行っても良いなら、行きたいな。」
「でも、親御さん待ってるんじゃ…」
「あぁ、そういや言ってなかったっけ?
家、今別居中で、じいちゃんのいた家に住んでんだよ。」
「あ…ごめん。」
「いや、良いって。
で?行っても良いのか?」
冴杜、楽しそうだなぁ
と、ふと思い、赤面しながらコクリと頷いた。
「よし、んじゃ鞄持ってやるよ。」
「い、いいってば~」
沈みかけた太陽が眩しくて、彼の顔と重なって良く見えない。
「早くしろよ、美寿子の家知らねぇんだからよ。」
そう言って、また手を取られて走っていった。