第5章 麦わら帽子とヒマワリとカメラ
「なんだそりゃあ?」
和泉守兼定が首を傾げると、男は得意げに笑ってシャッターを切る。
カシャという音に続いてフラッシュがたかれた。
「まぶしっ」
「ああ、ごめん。フラッシュたいちゃったか」
男はフラッシュをオフにすると、これでよしと呟いて小夜左文字を呼ぶ。
呼ばれた小夜左文字は、男の胡座に座ったまま上を向いた。
カシャとまた音をたてたカメラに、小夜左文字は肩をびくりと揺らす。
その様子に男は小さく笑った。
「すまんな。でもお陰でいいのが撮れた。」
男はそう言って、今しがた撮った写真を見せてやる。
画面に映されたのは、上目遣いにきょとりと首を傾げている小夜左文字だ。
男の手元を覗き込んでいた二人が目を丸くする。
「ど、どうなってんだ…?」
和泉守兼定は疑問をこぼし、小夜左文字は軽くパニックになっている。
「これはカメラって言ってな、こうやって対象物を画像として残せるんだ。」
「かめら…」
「おう、カメラだ。写真機なんて言ったりもするな。」
「あっ、それなら知ってる。歳さんと撮ったことがあるが、その時はこんな小さくはなかったしこんなに鮮やかじゃなかったぞ」
「そうか、兼定なら知ってるか。今じゃこれ位かこれより小さいのが普通だぜ?写真屋さんに行けばそれっぽいのはあるんだろうけど。昔は白黒だったもんなー、そこはやっぱ時代っつーか」