第5章 麦わら帽子とヒマワリとカメラ
言った瞬間、男ははっとする。
言っちまった…!
いやまあ別に大したことではないしいいんだが、なんだかなあと思うところはあるわけで。
「なんだ、驚かせたかったのか?」
鶴丸国永が言う。
「まあ…」
男が答えると、鶴丸国永は駄目だなあと笑った。
「主は鈍臭いから仕込みは人一倍慎重にしないと」
「お前は俺をよくおちょくるよな」
「なに、おちょくってなどないさ。ただ主をからかうのが楽しくてやめられんのだ。」
男はぐ、と口を閉じた。
本当は男だって、鶴丸国永とのこの応酬を楽しんでいるのだ。
どんな形であれ、好きな人にちょっかいを出されるのは嬉しい。
さすがに落とし穴に落とすのはやめてほしいが。
「主顔あかい」
ぼそり、加州清光が呟いた。
「うるさい」
男は赤い顔のまま加州清光の頭にチョップを喰らわした。
いたい、と愚痴を溢して頭を抑える加州清光を、燭台切光忠が慰めている。
それを横目に、蛍丸が口の中のものを咀嚼し終えてから口を開いた。
「で、主が僕たちを驚かすのと畑が何で関係あるの?」
それは恐らく他の刀剣たちも気になっていたところなのだろう、再び男の元に集まった視線に、男は観念して種明かしをする。