第5章 麦わら帽子とヒマワリとカメラ
燭台切光忠がからからと笑って言う。
燭台切光忠の言う通り、この本丸の刀はどうも低血圧が多い。
へし切長谷部なんかは特にそうだ。
主に寝起きの姿を見せるわけにはいかない、と燭台切光忠や薬研藤四郎に早い時間に起こしてもらっているのだが、何せ寝起きの彼はすこぶる機嫌が悪い。
始めその役を買って出た五虎退なんかは、あまりの怖さに泣き出してしまったほどだ(その後へし切長谷部が飴玉をやって謝っていた)。
全員分の朝餉が用意された頃になると、乱藤四郎と蛍丸に一期一振が連れてこられ、鶴丸国永と今剣に起こされたらしい大倶利伽羅が大広間にやってきて全員が揃った。
合掌をしていただきます。
それぞれが朝餉を口に運んでいるのを見てから、男も朝餉を口にする。
今日の朝餉は鮭と、豆腐とネギの味噌汁に胡瓜の浅漬けと白米だ。
相変わらずの美味しさに、男は頬を緩める。
毎日霊力を使っているにも関わらず体重がちまちまと増えていっているのは、この美味しいご飯のせいに違いない。
男はずず、と味噌汁をすすった。