第5章 麦わら帽子とヒマワリとカメラ
13
大広間につくと、いつも通りの騒がしい朝餉が始まる。
今日は堀川国広と歌仙兼定が当番らしく、机には和食がずらりと並べてある。
人数分の食器を用意してくれているのは、平野藤四郎と鯰尾藤四郎、それから加州清光だ。
「主だ!」
男が大広間に入ってくるなり、誰よりも早く気付いた加州清光が声を上げる。
それに刀剣たちが次々と続き、今日の近侍である燭台切光忠が目を丸くして男のところへやってきた。
「光忠おはよう」
「お、はよ…、どうしたの?今日早くないかい?」
戸惑った様子で聞く燭台切光忠に、男は苦笑いをこぼす。
確かにいつもは近侍のものが起こしにくるまで寝ているし、起きてくるのは最後の方だ。
男はちょっとな、と濁し、そそくさといつもの席に座る。
それに続くように、右隣には燭台切光忠が座り、左には加州清光が座った。
「あと起きてないのは、一期くんと倶利ちゃんか」
「あの二人も低血圧だからなあ」
「主に似たんだろうね。ここは低血圧の刀が多いし」
「そうか?」
「そうだよ。主がいつも遅いから知らないだけで」
「ははは、返す言葉もない」
「うちの主は寝坊助で困る。ちょっとは長谷部くんを見習いなよ。彼、すっごい低血圧のくせして早起きなんだから。」