第5章 麦わら帽子とヒマワリとカメラ
小袋を地面におき、男は農具で土地を耕していく。
手順は分かっているが、一人でやるには少々骨が折れる。
以前土地を耕したのはもう数年前のことで、あの時は一人ではなかった。
一つ目の畑は、山姥切国広と薬研藤四郎の二口しかいなかったころ、三人で手順もやり方もよく分からぬまま耕した。
植え方も肥料のこともなにも知らずに植えた野菜は成ることはなく、成ったとしても食べるには至らぬようなものばかりであった。
それ用の本を買って試したが、何故か上手くいかず、始めは悪戦苦闘の日々ばかりだったっけ。
何とか成功したころには、刀は二口から六口にまで増えていた。
これから増えていく刀のことや、必要になる食材のことを思うと一つの畑では足りない。
そんなこんなでもう一つの畑を耕した。
二つ目は、一つ目で学習したとあってすんなりと上手くいった。
鯰尾の馬糞はいい肥料になるという知識もあったおかげだろう。
そんなことを思い出しながら、男はせっせと畑を耕す。
滴り落ちる汗を手ぬぐいで時折拭っては、水分補給をすることも忘れない。
本丸では、畑すらも霊力に左右される。
霊力が多く澄んでいれば澄んでいるほど野菜は早く育つ。
男の本丸の畑も、比較的早く収穫できた。
一週間も経たぬうちに、種から立派な野菜へと育ってくれる。
今回植えるものも例外ではないだろう。
男は今から植える種の完成形を想像して、耕すために更に頑張るのだった。