第4章 夏の風景
「となり、いいか?」
男が聞けば、鶴丸国永は声を立てて笑った。
確認など取らずとも、勝手に座ればいいのだと言う。
男は人一人分ほど間を空けて座った。
考えれば、二人きりになるのは今日だけで二度目だ。
「少し待っててくれ。お猪口をもう一つ持ってくる。」
鶴丸国永は立ち上がりそう言うと、そそくさと台所へ向った。
その背を見つめながら、男は何だか無性に人肌恋しくなる。
男が鶴丸国永に振られて、もう何日も何十日も過ぎた。
悲しかった。切なかった。苦しかった。
こちらばかり好きだということに、男は何度も胸を痛めた。
しかしそれも徐々に和らいでいく。
気持ちが薄れたのではない。
時間と、仲間が解決してくれた。
気まずくなるより、ずうっといいじゃないか。
そう思えるようになった。
要するに、開き直ったのだ。