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とうらぶっ☆

第4章 夏の風景



不意に鶴丸国永がこちらを向いた。
彼を見つめる男に気がついて、声をかける。

「あるじ」

男は返事すらできなかった。
鶴丸国永の声は、どうしてこんなにも甘いのだろう。
まるで毒だ。

鶴丸国永は、返事のない男を見つめる。
そこに訝しむ色などなく、慈愛ばかりが浮かんでいた。
男はやっとのことで口を開く。

「おおくりからが…」

口の中がひどく渇いていた。
音になった声は掠れていて、聞き取りづらい。
それでも鶴丸国永は待ってくれる。
男の言うことを聞こうと耳を傾けてくれる。

「大倶利伽羅が、サツマイモの甘露煮を作ってくれたんだ。つるに、渡すようにって。」

男はゆっくりと言葉を紡いだ。
ようやっと何時ものように喋ることができ、胸を撫で下ろす。
もしかしたら、男はこの状況に緊張しているのかもしれなかった。
まるであの時のようで、無意識に身体は固くなっていた。

「ああ、俺が頼んだんだ。くり坊の作るこれは一等うまい。」

大倶利伽羅も、そういえば鶴丸国永に作れと言われたと言っていた。
彼は今頃、もう布団の中だろうか。

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