第4章 夏の風景
どうもマイペースな二人に、男は苦笑いを零す。
ぽた、と汗をかいた器が雫を落として廊下を濡らした。
そこでやっと男はかき氷の存在を思い出し、慌てて去ろうとする。
それを止めたのはまたもや三日月宗近だ。
「どこかへ行くのか?」
「ああ、いや、特に…」
「ならここで食べればよかろう。ほれ、近う寄れ。」
こいこいと三日月宗近が手招きすると、鶴丸国永が横にずれる。
三日月宗近と鶴丸国永の間を、ぽんぽんと叩きここに座れと仕草で表した鶴丸国永に、男はならばと腰を下ろした。
「主はブルーハワイか」
「ああ、鶴丸は何味にしたんだ?」
「ん、俺はイチゴにした。練乳があればもっとよかったんだがなあ。」
「次する時は用意するよ。三日月も、また食べるだろ?」
「もちろんだ。」
三日月宗近が美しい笑みを浮かべるのを見ながら、男はかき氷を口へ運ぶ。
じーじーと鳴く蝉の声が、耳障りではなく寧ろ丁度いい。
日はまだ高く、今いる縁側はそうではないが、一歩屋根のないところへ出ればその陽が容赦なく照らすだろう。
熱中症や日射病に備えて、麦わら帽子でも買った方がいいかもしれないと男は考える。