第4章 夏の風景
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掃除を終え大広間に戻ると、小夜左文字が小さな手でかき氷を手渡してくれた。
「これ、主さまの…」
恥ずかしいのか顔は逸らされたままだったが、男には十分である。
心の中では可愛いのゲシュタルト崩壊が起こっている。
「ありがとう、小夜。お前が作ってくれたのか?」
「うん」
そう言ってこくこくと頷く小夜左文字の頬は赤く染まっており、それがなお一層かわいさを引き立てている。
かわいすぎて思わず抱きしめてしまった程だ。
かわいいかわいいを何時までもしていると、せっかくのかき氷が溶けてしまうので、男は渋々小夜左文字を抱きしめるのを止め、ブルーハワイのシロップをかける。