第4章 夏の風景
鶴丸国永が大広間を出て湯殿に向かったのを確認すると、男と燭台切光忠は目を合わせて鶴丸国永がここに来るまでに歩いてきたであろう道を辿る。
予想通り、畳にも廊下にも泥がついていた。
「はあ、掃除か…」
「はは、鶴さんにやらそうか?」
「そうだな、廊下は鶴にやらせよう。畳は…悪いが手伝ってくれるか?」
「もちろん。そのつもりだったしね。」
そう言って笑う燭台切光忠の手には、バケツやら雑巾やらといった掃除道具が握られていた。
「光忠は本当いいやつだなあ。俺女だったら絶対好きになってたわ。」
「ありがとう。男でも好きになってよ、僕は大歓迎だけどな。」
「もう俺光忠になら抱かれてもいい気がする。」
「それを主が望むなら構わないけど、君が好きなのは鶴さんだろ?そういうことは冗談でも言うもんじゃないよ。」
男は目を見開いた。
流せないことは色々(色々というか何で光忠俺が鶴丸好きだって知ってんのかについてだけど)あるが、取り敢えずこれだけは言わせて欲しい。
「お、前…ほんっとかっこいいな…」