第4章 夏の風景
そうこうしているうちに、短刀たちがかき氷を数人前用意してくれた。
自分たちは後でいいから、と言うあたり本当にいい子達である。
大広間の中に疎らに散らばっている刀剣たちを机に集め、かき氷とシロップを並べてやる。
「主、この青と緑と赤と黄は何だ?」
男の隣に座る三日月宗近が並べられたシロップを見て、はて、と首を傾げて尋ねた。
男はそれに丁寧に説明していってやる。
「これがシロップだ。青いのはブルーハワイ。緑のがメロンで、赤いのがイチゴ。黄色いのはレモン。」
「ほう、めろんとはこの間食べたあの甘い果実であろう?」
「おう」
「苺は分かるが、れもんとぶるーはわいが分からん。」
「レモンはあれだな、この間酒の肴に光忠が軟骨の唐揚げを作ってくれただろう?」
「ああ、あれはうまかった。」
「それの横に添えてあった黄色いのを絞ってかけたのを覚えてるか?」
「それなら覚えておる。柑橘のようなものだったな。」
「それだ。レモンだけで食べると酸っぱいけど、これはシロップだから酸っぱくない。」
「して、ぶるーはわいとは?」
「ブルーハワイはラムをベースにカクテルにしたものだな。簡単に言えば甘い酒だ。シロップにアルコールは入ってないが。」