第4章 夏の風景
男は背中をさすりながら、うつ伏せで畳に横になったまま男の腰にしがみつく加州清光の方を見た。
「お前なぁ…」
「はあ、二日ぶりのあるじ」
男が咎めようと口を開くも、途中で加州清光に被せられ言葉は途切れる。
これまた甘ったるい声で、挙げ句の果てにぐりぐりと頭を背中に押し付けてくるのだから、男は叱るに叱れない。
確かに顔を見るのは二日ぶりであるし、何だかんだ言って男は加州清光をそれこそ目に入れても痛くないほど可愛がっているので、まあいいかと絆されてしまうのだ。
男は叱るほどのことでもないか、と諦め、加州清光にかき氷を食べるかと問う。
「清光もカキ氷食べるか?」
「食べる!俺いちごミルクね」
「残念、今回は練乳ねぇんだ」
「ええー、じゃあいちご味でいい」
「すまんな、次は用意するから」
そう言って頭を撫でてやれば、加州清光は目を細めてそれを甘受する。
まるで猫みたいだ。