第1章 真白の君
鶴丸が悪いんじゃない。俺だって、悪いよなあ。
幾ら酔ってたって、こんな告白の仕方じゃ相手にされなくても仕様もないじゃないか。
酒の勢か、酔っているか、そんな程度にしかとられなくて当然。
ましてや、俺は男だ。
普通は、その好きがキスしたいとか触れたいとか、そういった欲をもつものだと結びつかない。
男の考えていることは、限りなく常識だった。
卑屈や下卑なんてものではなく、それは確かに常識だった。
真白の君が、男の顔を覗き込む。
浅ましくも、それにときめいてしまう自分が嫌になった。
「どうした?具合でも悪いのか?」
恐らく、いつまでたっても反応がないことを訝しんだのだろう。
けれど、そんな気遣いさえも、今は男を惨めにさせていくだけだ。
男は立ち上がり、なるたけ笑顔を意識して口を開く。
「ちょっと飲みすぎた。俺そろそろ寝るわな。つるはどうする?」
「そうか。俺はまだもう少し飲んでる。おやすみ、主。」
「ああ、おやすみ。」