第3章 閑話休題:山姥切国広
山姥切国広は妙に納得してしまって、ため息を小さく吐く。
「こういうことは、俺たちが踏み込んでいい領域じゃない。」
「その通りだ。大将が傷つくのは嫌だが、俺たちにはそれをどうすることもできない。」
「…でもあんたはいいのか?」
「ん?何がだ?」
「一期一振だ。嫉妬されてたぞ。」
「ああ、そのことか。兄貴はそういうことに鈍感なんだ。多分気付いてねぇだろうな。それに大将はそんなことで兄貴を捨てやしねぇよ。」
確かにそうだ。
山姥切国広は何だかやっと一心地つけた気がして、途端に襲ってくる睡魔に身を任せる。
眠いのは薬研藤四郎も一緒なのだろう。
欠伸をしているのが聞こえる。
「鶴の旦那も、べつに、そういう目で兄貴を見てる、わけじゃねぇし…」
それでも何とか喋ろうとし、結果言葉は途切れ途切れだ。
山姥切国広はそれに何とか返事をして、眠りについたのだった。