第3章 閑話休題:山姥切国広
「主、審神者が全員揃ったそうだ。あと半刻で始めるらしい。」
予定表を渡してそう言えば、主は、はっとした後に笑みを浮かべて礼を言う。
その笑みはぎこちなく、山姥切国広は思わず息を呑んだ。
「あんた…」
昨日までと様子が違う主に、山姥切国広はなんと言えばいいのか分からなくなる。
一体一晩で何があった。
何であんたはそんなに傷ついている。
疑問ばかり出てくるも、それを口に出せば主は傷つくだろう。
それが分かっているから、山姥切国広は口を開閉するに止まった。
慰めの言葉をかければいいのか、それすらも分からない。
それに、主を慰めるのは自分の役目ではなく、薬研藤四郎の役目だ。
山姥切国広は、いつも主を叱咤し背中を押すのが自分の役目であると自負している。
諦めて、口を閉じる。
主が不思議そうに問いかけてくるが、何でもないと言えばそれ以上聞いてくることはなかった。