第3章 閑話休題:山姥切国広
演練の受付をするため、山姥切国広はその場を離れた。
ついでに予定が書かれている紙を受け取ることも忘れない。
演練において、受付と予定表の受け取りは専ら山姥切国広の役目であった。
演練に初めて参加した時、主に任せれば受付の場所にたどり着けず、そのまま受付時間を大幅に過ぎてしまい、結果とんぼ返りとなった。
二回目の演練の時には迷子にはならなかったものの、予定表の紙を受け取って、そこから刀剣たちの元に向かう途中で失くしてしまった。
こういったことがあったので、山姥切国広がこの役目を申し出たわけである。
山姥切国広がいない時であっても、その時の隊長がその役目を担うなどする徹底ぶりだ。
受付に行けば、政府の使いのものや他の審神者に見られることもあるが、山姥切国広はそれを大して気にしていない。
昔の自分であったら気になっていたであろう人の眼は、主と過ごしていくうちにあまり意味のないものだと知った。
自分が写しであっても、他人からどんな眼で見られようと何を言われようと、主は自分を手放さない。
それは根拠のない自信なんかではなく、事実だ。