第2章 演練
それを分かってて言ったであろう自分の弟を見て、一期一振はため息をつく。
それと同時に主に対する愛しさが増すのも事実だ。
出来た人間ではないが、それ故に男の刀剣たちは男が愛しくてたまらない。
それは家族愛であったり友愛であったりと様々だが、皆主を慕う気持ちは同じだ。
一期一振は男の横に並ぶと、その背を叩く。
「しかし変態なのは頂けませんな。くれぐれも弟たちに変なことは教えないで下され。」
「…なんか、美人に変態って言われると興奮するよな」
「怒りますぞ」
にっこり、きれいな笑みを浮かべる一期一振に、男は般若を見た気がして高速で首を横にふる。
こりないお方だ、と一期一振は仕方ないという風に笑みを浮かべた。
その少し後ろを歩いている山姥切国広も、どこか安心したように僅かに笑みを模る。