第12章 終幕
「まったく君たちは…」
はあ、と盛大なため息が歌仙兼定の口から漏れる。
「別に主と鶴丸との関係にとやかく言う気はないが、時と場所を考えてくれ。頼むから。」
「すいませんでした…」
「ごめんなさい…」
「こんな真昼間から、しかもこんな所で。雅に欠ける。」
「みやび」
「みやび」
「復唱しない。二人とも、暇なら料理を運ぶのを手伝ってくれ。僕一人じゃ運びきれなくてね。」
歌仙兼定は埒があかないと、台所がある方向を見ながら言う。
それに了承すれば、歌仙兼定は先に台所へ向かった。
「さて、俺も行くか」
鶴丸国永は立ち上がると、一度伸びをして歌仙兼定の後を追う。
そんな鶴丸国永の背を見つめながら、男は立ち上がると同時にひとつの決意を胸に決める。
鶴丸国永と男が所謂恋仲になって数十日。
実はまだ、まぐわってはいないのだ。
いつもいつも、いいところで誰かに邪魔をされたり、どうしても男の決意がつかなかったりといったことが重なった結果だった。
だから、今日こそは。
今日、ならば。